原稿の文章を確認する誤りを正す「校正」があるように、印刷物の色を確認する「色校正」があります。
聞き慣れない言葉かもしれませんが、絵本やイラスト、写真集を出版・発行する際には非常に重要な工程です。
同じデータでも生じる色のばらつき
色校正は、出来上がった印刷物の色合いが、イメージ通りに再現できているかを本番印刷前に確認することです。
写真やカラーイラストなどの印刷を印刷会社に依頼した際、パソコンのモニターで見ている画像データの色や、
家のプリンタで出力したものと同じ色のものがそのまま印刷されてくると思いがちです。
しかし、実はそうではありません。 同じデータでも、異なる設定のモニターで見れば異なる色に見えてしまうように、
印刷においても、使うプリンタや印刷機の違い、紙の違い、インキの使い方の違いで驚くほど色が変わってきます。
色校正の必要性
「仕上がりが事前のイメージと違う」という事態を防ぐために必要な工程が「色校正」です。
実際に印刷された見本を確認することで色を確認し、それがイメージと違えば、データや印刷機を調整して
理想の仕上がりに近づけていくことになります。
書籍を出版する場合、文字中心の本であれば色校正はそれほど重要ではありません。
しかし、 写真やカラーイラストがたくさん入っている写真集・イラスト集などの場合は必ず行ったほうがいいですし、
表紙デザインの色にこだわる場合も、色校正は重要になります。
色校正の種類
色校正には大きくわけて下の3つの種類があります。
●本機色校正
「本機」とは本番印刷に使用する印刷機械のことで、本機色校正は本番印刷と同じ印刷機、用紙、インキを使用した試し刷りです。
通常、本番印刷用の印刷機械は少部数の印刷ができず、大量の紙とインクを使用してしまうので、コストが高くなってしまいます。
しかし、本番と同じ状態の校正紙で色を確認できますので、本番印刷後に出来上がった本を見て「イメージと違う!」と
なってしまうリスクはほとんどありません。
本に掲載される写真やイラストの発色に強いこだわりがあるようであれば、
こちらの色校正を利用することで、イメージと仕上がりの違いを極力少なくすることができるでしょう。
●本紙色校正
本紙色校正は、実際に使用する用紙での試し刷りですが、本刷りと同じ印刷機ではなく、本紙校正専用の印刷機械を使用します。
本番と同じ紙を使用するのである程度の再現性があり、本機色校正よりはコストがかかりませんが、本機色校正と同等の再現性はありません。
●簡易色校正
本番とは異なる紙とプリンタを利用した低コスト・短納期の色校正です。
本番とは多少色が異なってしまう可能性がありますが、それほど発色にこだわりがなく、
大まかに色が確認できればよい、という場合はこちらでよいでしょう。
以上のように、一口に色校正といっても複数の選択肢があります。 コストと、求める品質の兼ね合いで選択しましょう。
三恵社での色校正
三恵社では、少発行出版用のオンデマンド印刷機を採用しているため、 200部程度の少発行出版であれば
低コストで本番印刷と同じ印刷機での色校正を行えます。
ですので、基本的にはお手元に届く校正紙は、最終的な書籍の仕上がりと同じものとなります。
(刷り部数が大きいものや特殊な印刷方式を採用する書籍の場合はこの限りではありません)