書籍の「耐久力」を高める
書籍は、ある情報や思いを他者に伝え、あるいは後世に残すという媒体としての役割を持っています。
情報媒体としての書籍を考えた際に、重要になってくるのが「耐久力」です。
紙がすぐに劣化してしまったり、ちょっとした衝撃で本がばらばらになってしまったりしては、情報媒体としての役割を果たせません。
それを防ぐため、書籍を印刷・製本する際には様々な工夫がなされています。
その一つが、本の表紙やカバーに施される表面加工「PP加工」です。
PP加工とは
PP加工(ポリプロピレン〈Poly-Propylen〉加工)とは、
本や冊子の表紙やカバーの表面を透明のフィルムで圧着コーティングして保護する加工です。
PP加工には多くのメリットがあります。
● 紙表面が保護され汚れや湿気に強くなる
● 摩擦による傷や色移りを防ぐ
● 印刷されたインクの剥がれ、こすれを防ぐ
教材や報告書、記念誌や写真集など、繰り返し使ったり長期間保管したい本や冊子に最適の加工です。
市場で流通している書籍の多くはPP加工が施されています。
代表的なPP加工を2つ紹介しましょう。
クリアPP
つるつるとした手触りで、ツヤ、光沢のあるPP加工です。グロスPPとも呼ばれます。
この加工をすると表面が平滑になり、色彩がはっきりと濃く見えるようになります。
写真や色合いを鮮やかに引き立てる加工ですが、発色や色味を忠実に再現したい場合は
PP前の色と大きく変わる場合があるので注意が必要です。
マットPP
さらさらとした手触りで、光沢を抑えたツヤ消しのPP加工です。
やわらかな落ち着いた質感が特徴で、シックで上品なイメージの演出に向いています。
すりガラスのような風合いで、色味の変化はクリアPPほど目立ちません。
代表的なPP加工は上記のとおりですが、ブックデザインによりカバー・表紙に選択された紙の風合い・手触りなどを生かすため、
あえてPP加工を施していない書籍もあります。
PP加工を施した本に比べて耐久力が落ちることは否めませんが、書籍の用途・ターゲット、コストなどによっては選択肢に入ります。
目的によって、多様な加工の中から適切な加工を選択していくことが大切です。