日本語には、一見何と読むのかわからない難しい漢字の固有名詞や、特殊な読みを持つ熟語がたくさんあります。
原稿を書いているときにそのような言葉が現れたら、できれば読者を助けるために「読みがな」をつけましょう。
「読みがな」は、文章上、漢字の上(縦書きでは右側)に小さく配置します。これを出版用語では「ルビ」と言います(読みがなをつけることを「ルビをふる」などと言います)。
目次
どの漢字にルビをふる?
まず考えたいのは「どの漢字にルビをふるか」です。一般的な書籍では、難読漢字や固有名詞にルビをふることが多いです。
また、読み間違えが致命的になる箇所にもルビをふると親切です。
また、「どの漢字が難読か」は主観ですので、基準がほしいという場合は、
たとえば文部科学省が定める「常用漢字表」に載っていない漢字はルビをふる、という手もあります。
(参考:「常用漢字」とは?)
次に、読者層による使い分けです。ターゲットが明確なら、その年齢や知識レベルに合わせてルビの有無を決めるのが良いでしょう。
児童書の場合、すべての漢字にルビをふる場合もあります。
もしくは、学校で習う漢字は学年ごとに決められているので、ターゲットの学年が決まっているなら、その学年の未習漢字にルビをふると、子どもがスムーズに理解できます。
どれだけふる?
通常の書籍では、あまりに頻繁にルビをふってしまうと紙面が雑然としてしまい、かえって読みづらくなります。
「辞書を引くきっかけを残す」くらいの控えめさが、文章のテンポを保つコツです。
同じ語が繰り返し登場するときは、最初の一度だけルビを付け、その後は省略する方法もあります。
ページをまたいで再登場する場合は、読みを忘れがちなので再掲しておくと親切です。
その場合は、「章ごとの初出にルビをふる」などの基準を設けるといいでしょう。
ルビの位置とサイズにも注意しましょう。横書きなら漢字の上、縦書きなら右側に配置するのが規則です。フォントサイズは本文の約半分が目安です。
Microsoft Word等の編集ソフトではルビを付与する機能がついているので利用できると便利です。
ルビの応用「当て読み」
ルビの応用として、親字(漢字)の本来の読みとは異なる語をルビに載せる「当て読み」という演出方法があります。
これは物語・小説やマンガ等でよく利用される手法です。
たとえば〈鉄〉に「はがね」、〈未来〉に「あした」のように、別の読みを添えることで、文字がもつイメージとルビが示す音やニュアンスを二重写しにし、言葉の意味を広げる効果が得られます。とはいえ多用すると読者が混乱し、検索や音声読み上げが機能しにくくなるので、物語のキーになる言葉や感情の盛り上がりどころに絞って使うとメリハリが出ます。
原稿のクオリティを高めてくれる「ルビ」。ぜひ使ってみましょう。
まとめ
●難読漢字・固有名詞・読み間違えが致命的な語を中心にルビをふろう
●読みやすさ、紙面とのバランスを考えてふろう
●ルビ自体に意味をもたせる「当て書き」を使ってみよう